こんにちは。
「型破りという型」に、はまらない艦長を探したいモトコです。
型から自由になるのは難しい。
存在を保証するのは、型だったりして。
片付けものをしていると思う。
分類不能のものは、
常に行き場がない。
そういう定位置のない状態は、
カッコ良かったり、惨めだったり。
潜水艦艦長。
主役になる艦長より、
ならない艦長の方が多いのです。
そういうもの。
そして、
自分だけの宝物はそういうところにあったりする。
見逃さないから!
ってことで始めまーす。
レッドオクトーバーに対峙する米原潜ダラスの2人
バート・マンキューソ艦長
ヴィト・バートロメオ・マンキューソがフルネーム。
イタリア系の名前らしい。
モトコはネズミ系だなと思いました。
原作ではマンキューソ艦長は床屋の息子。
まったく子どもの将来というのはわからない。
裏切り方無限大。
「潜水艦艦長」としては主役でもないのに、
モトコの艦長ランキングでは
不動の1位に輝いています。
演じているのはスコット・グレン。
「羊たちの沈黙」クラリスの上司。
名脇役。
ショーン・コネリーには
有無を言わせない存在感がありますが、終盤の大バトル、
ラミウスに代わってレッドオクトーバーの指揮を取り、
鮮やかにケリをつけるのはこの人です。
地味にして華麗。
素敵です艦長!
ソ連の脱走艦をまるで自分のフネのように。
扱いに慣れているのは、潜水艦だけですか?
嵐の中、ヘリでやって来たライアンが「ラミウス亡命論」を説いても、
直後にレッドオクトーバー撃沈命令を受けた艦長は、
それを容易に信じることはできませんでした。
時に熱意が、見極めの分水嶺になることはあるけれど、
ライアンの説得は艦長を振り向かせるには至らず、賭けに出る。
僕はラミウスがどんな男か知っている。
次のイワンターンは右舷だ!
イワンターンというのは、
つまりバッフルチェックです。
結果、右舷に回ったのはただのラッキー。
通常運転をちょっと超えたときに、
奇跡は起こる。
一触即発、ラミウスの意図を測ります。
撃って来るかと思いきや、挑発に乗らず静かに浮上。
ここがラミウスの大人なトコ。
一瞬考えて、艦長がライアンにひとこと。
あんたのお客さんも結構クールだな。
こっちも付き合うぞ。
英語でもcool customerと言ってますが、そんなふうに表現するあたりクールです艦長!
しかしクールな艦長は、
基本短気。
DSRVに乗り込んで、レッドオクトーバー艦内へ向かうとき。
俺をこんなとこへ閉じ込めやがって!
まったくCIAってのは、中央情報局?
ちゃんと看板通り情報集めてんだろうなぁ!
(同乗したCIAのライアンに)
どうだ!
コーヒーの味はぁ!!
・・・・・。
キュートです艦長!
DSRVにいたら指揮官じゃないもんね。
そこでライアンにも拳銃を持たせる艦長。
「相手は亡命したいだけだ」と言うライアンに、
ま、命は大事にしろよ。
文句言ってたくせに、
ちゃんとライアンの分も持って来てんじゃん。
というか、亡命論をまだ信じてないのか。
ラミウスと対面を果たし、ようやく亡命の意思を確認するも、
潜伏していた工作員が最後のひと暴れ。
司令塔を任されたマンキューソは、
遅れてきたツポレフとの勝負に全集中。
ついつい巻き戻して見ちゃう。
表向き、米ソどちらもWin-Winで終わらせた名艦長。
ちなみに老眼です。
ゴーグルみたいな老眼鏡がキュート。
ソナーマン:ジョーンズ
音楽大好き、耳の肥えたジョーンズはダラスのソナーマンです。
「幻の潜水艦」の音を注意深く探し当て、レッドオクトーバーの航行ルートを予測します。
この「音」を探知するのがいかに困難か、というのはわりと丁寧に描かれており、
不眠不休ジョーンズの粘り勝ちと言えます。
キャタピラーを作動させた場合、
音響ソフトはその微かな音を「マグマの移動」と判別することを発見。
熱っぽく説明するジョーンズがキュート。
レッドオクトーバーの追尾に成功します。
ジョーンズはDSRVでレッドオクトーバーにも同行。
フネが変わってもやること同じ。
どこの国の魚雷かも、推進音で聞き分けられるのですね。
貢献度の高いジョーンズです。
潜水艦ネタ:モトコ視点で恐縮です
キャタピラードライブって?
音を出しちゃいけない潜水艦にとって、革命的な仕組みです。
普通、推進力となるのは艦尾についてるスクリューなのですが、水をかき混ぜることでキャビテーション(気泡)による音が出ます。
この音を極力抑えるため、今も各国がしのぎを削っています。
キャタピラーはスクリューを使わずに、電磁波で大規模な水流を作り出し、無音(もしくは超静音)で航行できるシステムで、数年前に中国がこういう類のものを作ったとか、テストしたとか…。
もう架空じゃないのかも。
魚雷発射にまつわるいろいろ
魚雷発射までの手順を下記にまとめますw
いきなり発射ボタン押してもダメだし、
敵との距離が近すぎてもダメです。
何番と何番の発射管に装填だの、
注水しろだの、いちいち艦長が指示するのでちゃんと聞きましょう。
①発射管に魚雷を装填
②発射管に注水(補水タンクから)
外の水圧と同じにする。じゃないと③ができない。
③外扉を開ける
④発射。次の装填準備(補水タンクへ移水)
魚雷は艦のスクリュー音を追尾してきます。
狙われた潜水艦は、オトリを発射して魚雷を騙したいところですが、
うまくいったり、いかなかったりみたいです。
これで戦闘シーンになったとき、
いつもの3割増しで楽しめること請け合いです!
潜水艦の通信について
ソ連原潜コノヴァロフのツポレフ艦長が、登場するなりキレてたシーン。
この命令は7時間も前に出ていたんだ!
なんと7時間だっ!!
コノヴァロフは、レッドオクトーバーとの演習と聞いていたので、
全艦隊が出撃する中、撃沈命令を知らずに海底にいました。
これはつまりアレですね、
潜水艦は深いところにいると電波の受信ができなくて、
連絡を受け取るために、ときどき潜望鏡深度まで浮上するのですが、
リアルタイムで受信できないことによるタイムラグ、ということですかね。
あり得ることだとして、やはり7時間も出遅れたと思うとやる気なくす…
かと思ったらツポレフ艦長、俄然やる気に燃えてレッドオクトーバーを猛追。
打倒ラミウスに乗り出してゆくのでした。
そんな男らしくも健気なツポレフですが、
マンキューソ艦長の手腕には及ばず。
ちなみにコノヴァロフは、
冷戦が生んだソ連の高速潜水艦、アルファ級原潜となっています。
The Alfa is too quick.「アルファ級はすばしっこい」と言う誰かのセリフがあります。
チタンで出来てる速いやつ、ということで以前記事にしました。
ドルフィン運動
コノヴァロフの魚雷を自分に引き寄せ、レッドオクトーバーの時間稼ぎを助けたダラス。
オトリを発射し急浮上。
30度の角度をつけて、潜水艦が海面に勢いよく飛び出すのをドルフィン運動と言います。
昔は海自の観艦式での目玉でした。
映画でも、目玉っぽい扱いではあります。
舵の操作と、タンクの排水・注水の絶妙なタイミングが取れないとできないそうですが、
今の潜水艦の艦首にはゴム製のソナードームというのがついており、
これを保護するため、今ではドルフィン運動は見られなくなりました。
終わりに:そのまんまで十分なの
今日も誰かがパシッてる
パシリ旅から帰宅の途に着くライアン。
パシリ旅って言ってますけど「任務」です。
「エージェントを派遣する」ってつまりは「パシリをパシらせる」の意。
ダ・ヴィンチの「受胎告知」に出てくる大天使ガブリエルも、要は神様のパシリ。
「大天使」の階級は9ランク中、下から2番目。
何気に階級社会。
パシリを仰せつかったら、
心してパシろう。
乱気流が苦手で、飛行機では眠れなかったライアンが、
ヘリでの移動をこなすうちに逞しくなっていきます。
ヘリからダラスへ乗り移るため、
その浮上を待っているとき。
10分余計に飛ぶ予備燃料があるなら、
あと10分だけ待つ!
旅以前の彼からは、聞くことのないセリフでしょう。
パシリの意地。
伸びシロあり!
恐れを一つ克服して、
帰りの飛行機では熟睡するキュートなライアンでした。
自分がキュートかどうかは他人が決める
ただこの映画、
公開からすでに30年経過。
興味から、
今現在のライアン(アレック・ボールドウィン)を検索するのは、あまりおすすめしません。
別のキュートさが弾けてる。
とても不思議ですが、
この非キュート系映画の登場人物は、
みんなキュートです。
攻撃回避を密かに計算するラミウスのお顔。
亡命後の生活を夢見るボロディン。
のほかにも、
ライアンのボスたち、ソ連の駐米大使でさえ…
自覚なしに
ちょいちょい見せてくる
この可愛げはなんなんでしょう。
ヒトの魅力は可愛げですか???
可愛げってなんですか???
長々お付き合いいただき恐悦至極ですが、
映画観た方が早いっす。
ではまた!
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