こんにちは。
潜水艦の最も象徴的なパーツは潜望鏡だと思うモトコです。
丸い窓ではありません。
レストランで、
曲がるストローを何度も覗く女の子がいました。
その子はきっと、
曲がった先の世界が見たかったのかもしれない。
自分の目線と別方向のなにかが見えるかも、
だってストローは途中で曲がっているんだから!と考えて、
覗いてみたのかもしれない。
結果、見えたのはストローの突き当たりだけで、
ちょっとがっかりしたかもしれない。
がっかりしつつも、
仮説と検証の有効性を悟ったかもしれない。
身体は海の中なのに、
見える景色は海の上。
これは遊びゴコロをくすぐられます。
さっそく潜望鏡深度まで
浮上しようではないか!
艦長の特権!?
潜望鏡を覗くのは、艦長だけなのでしょうか。
潜望鏡上げ!とか下げ!とか
言うのも艦長だしな。
少なくとも、私が今まで観た映画では
艦長以外の人が潜望鏡を覗くのを見たことがありません。
覗いちゃいけないわけじゃないけど、
艦長が海上を確認して、
そのまま命令を出せば効率がいいという
ただそれだけかもしれません。
映画に見る潜望鏡使用シーン
取り急ぎ(すぐ用意できる)画像とともにご紹介しましょう。
潜水艦映画と言っても、
艦長が潜望鏡を覗くシーンは、必ずあるわけではないのですね。
雰囲気出るけど。
沈没してたら出番なし。
原子炉に欠陥が見つかったら、
そっちなんとかしなきゃで、やはり潜望鏡の出番なし。
眼下の敵、の場合
水上航行で米駆逐艦に気付き、
一旦潜航して様子を伺っているところ。
狙ってくれ、と言わんばかりのノンキそうな駆逐艦に
艦尾魚雷を撃とうと狙いを定めますが、
実はそこが駆逐艦の思うツボ。
シュトルベルク艦長は潜望鏡を覗く際、
基本的に黒手袋をはめます。
まるで儀式の前のように。
徐に。←「おもむろに」ってこういう字なんだ。
滑り止めとかそういうことでしょうか。
めんどくさいからいいやってならないところがドイツ人なのか。
正直なくても問題ないと思う。
そして帽子のツバの向きを変える。
変えないとカツンてなるから。
これも最近の映画では見ない。
だいたい艦長、帽子かぶってない。
この映画の製作は1957年。
舞台は第二次世界大戦下。
潜望鏡にも時代を感じます。
映画についてはこちら↓
イン・ザ・ネイビー、の場合
これは魚雷が見事命中して、
嫌な上司に一泡吹かせた最高に楽しい瞬間。
潜水艦の醍醐味みたいなのが
一揃え詰まった嬉しい映画です。
製作は1996年ですが、
ドッジ艦長が乗っているのは大戦時代の旧型艦という設定です。
どこまで再現されているのかわかりませんが、
上のUボートのよりはだいぶ新しい感じがしますw
映画についてはこちら↓
レッドオクトーバーを追え、の場合
米原潜とコンタクト中の艦長。
相手が送ってくるモールス信号を読んでいます。
ガン見な気配。
このあとモールスの内容に驚いて、
接眼部の左右のハンドルを
ばちん!と勢いよく閉じるシーン。
モトコは気に入っています。
この潜望鏡は鏡面仕上げというか、
表面がキラキラしてとてもゴージャスな代物です。
コネリー用に頑張った?
最新鋭かつミステリアスな潜水艦にピッタリ!
重量感もひときわ。
タイフーン級は巨大原潜なので設備も充実。
ラミウスのいる発令室も広々しています。
みんな軍服もビシッときまって全体的にリッチ。
Uボートの乗員は、
薄汚れたランニングシャツとかです。
リアル。
映画についてはこちら↓
潜望鏡の仕組み
隠れつつ観察したい
periscope は peri(周囲)を観察する望遠鏡ですが、
日本には潜水艦用として入ってきたので、潜望鏡と訳されたそう。
「安全に隠れた状態で外を観察できる」ので装甲車両にも使われています。
そういえば戦車には窓がない。
「装甲」じゃなくなる。
塹壕戦の塹壕でも用いられたそう。
万引きGメンの人なんか、
重宝するんじゃないでしょうか。
ダメ?
仕組み
基本的な構造は「昇降可能な金属製の筒」です。
浮上した時、潜水艦の艦橋トップは海面から10mくらい下の位置をキープするので、
潜望鏡は11mくらいの長さは必要です。
この筒は伸縮するのではなく、全体が昇降します。
中に光学系が収められていますが、
反射鏡とレンズで正像を結びます。
あの子に教えてあげたい。
曲がるストローとはここが違うって!
そんなに長いと潜水艦の直径には収まらないので、
耐圧殻を突き抜けた状態のまま、
突き抜けた部分はセイルに格納されています。
耐圧殻を貫通するというのは、
防水面からみても、本当はあまり素敵ではありません。
「耐圧殻」とかさらっと言ってるけどなに?
という場合は、記念すべき最初の記事どうぞ↓
自動的に決まる艦内レイアウト
そんなわけで潜望鏡を使う場所は、どうしても艦橋のすぐ下ということになります。
で、自動的にそこが発令室となります。
必需品であると同時に、
他の機器の配置などにも制限を与える機器なんですね。
非貫通式潜望鏡だと?
仕組み
日本の潜水艦ではそうりゅうから
非貫通式潜望鏡が装備されています。
潜望鏡の長い筒が、耐圧殻を貫通していない仕様です。
デジカメってことになると思いますが、
それをセイルに格納します。
光学系が詰まった筒が不要になり、
耐圧殻を通すのは細いケーブルだけとなります。
ケーブルと繋げばディスプレイはどこに設置してもOKなので、
発令室を置く場所の制限が緩和されます。
また、ディスプレイなら艦長だけでなく
全体への共有度が上がります。
録画できれば、浮上時間も短縮できます。
しかし、フネには最新装備とともに、念のためアナログ装備も残すことが多いそうで…
非貫通式潜望鏡を備えつつ、光学式も使えるそうです。
結局貫通してんのかよ…
終わりに:モトコの憂鬱
いろいろ進化するのはいいのですが、
必要とあらば、致し方ないのですが、
便利になりすぎることには、
個人的に、寂しさと不安を覚えます。
街に出ずに、
amazonでポチってるのは私です。
人のアクションが減るということは、
人の筋力も減る
知能も落ちる
情緒が消える…
こうして見てみると、
「眼下の敵」の潜望鏡シーンなんて
とっても貴重なのではないでしょうか。
潜望鏡を覗きながら
そこを軸にしてくるくる回る艦長(敵艦を探してる。遊んでない)とか
もう見られなくなるのかな。
デジカメが一周してくれる。
「レッドオクトーバーを追え」で
ライアンとラミウスが秘密のやりとりをできたのだって、
潜望鏡から得る情報が、
共有される仕様ではなかったからです。
ある意味とても危険なツールだ。
だから何が言いたいのかというと、
映画にはカッコいい艦長がいて欲しい!!
潜水艦を舞台にした人の動きが見たい。
考えが見たい。
その堂々たる意思、
知略の火花を。
私は退屈したくない。
ではまた!
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