こんにちは。
沼津に深海生物に特化した水族館があるそうで、これは行かなければと思うモトコです。
海の中は100m以上潜ると、
しだいに太陽光が届かなくなり暗闇になるのだそうです。
深海生物に目の退化した生き物が多いのは、そのせいかもしれませんね。
ところで深海の調査に使われる「しんかい6500」は、
やはり潜水艦と同じく高張力鋼でできているのでしょうか?
なにしろ6500m潜れるわけですから、
数百メートル程度潜れる潜水艦とは、また違うものでできているかもしれません。
これは気になります!!
チタン合金だと?
しんかい6500は何製?
「しんかい6500」でググったら、
一番上位にヒットしたのはウィキペディアでした。
「船体構造」の項目で
従来の高張力鋼に代わりチタン合金で作られており」との記載があります。
チタンごうきん。
チタンってゴルフクラブとかに使われてたりしませんか?
あと電気ドリルとかの先っちょとか…
そんなちょびっとずつ使われてるようなやつを、船体に使うんですかね。
映画「フォレスト・ガンプ」に出てきたダン小隊長の義足も、たしかチタン製でした。
なるほど。
素材としては良さげです。
念のため、JAMSTEC-海洋研究開発機構のホームページにも行ってみました。
ウィキペディアでは船種として
「深海探査艇」とありましたが、こちらでは「有人潜水調査船」となっています。
基本的に「艦」は軍用の名称なんですね。
そして詳細なイラストとともに「チタン合金製耐圧殻」との記載が。
ふーん。。。
ということで、チタンを主成分とした金属であることがわかりました。
じゃあ、潜水艦だって全部これで作れば良いんじゃないか?
深く潜れるということは、より丈夫なんでしょう?
と思いましたが、潜水艦は6500mも潜る必要はないですねきっと。
というか、そもそも
チタン製の潜水艦というのは世界に存在するのでしょうか。
これは気になります!!
チタン合金製潜水艦はあるのか?→あった!
1970年代にソ連が作っていました。
攻撃型原子力潜水艦アルファ級とその後継シエラ級だそうです。
↑「チタン製潜水艦」でググると最初にヒットするのはやはりウィキペディアでした。
強え!
名前がわかったところで、改めて本で見てみます。
さくっと本を見てみても、これらの潜水艦はちょっと凄かったらしいことが伺えます。
The Project 705 submarines were the fastest,deepest-diving,and most highly-autmated submarines of there time.
David Ross 「THE WORLD’S GREATEST SUBMARINES」
(プロジェクト705潜水艦(アルファ級潜水艦)は、その当時最も早く深く潜航でき、最も高度に自動化されていた。)
The evolutionary descendant of the Alfa,the Sierra is a titanium-hulled follow-on to the previous classes of Soviet SSNs.
トム・クランシー 「SUBMARINE_A Guided Tour Inside a Nuclear Warship」
(アルファ級の革命的な子孫であるシエラ級は、先行するソ連の原潜を踏襲してチタン製船体でできている。)
Soviet titanium technology was far in advance of the west.
Alan Mouhli 「History of Submarines The Submarine」
(ソヴィエトのチタン技術は西欧諸国よりはるかに進んでいた。)
チタンの加工というのは非常に難しいのだそうです。
鋳造や溶接など、高温になるとさまざまな元素と反応しやすくなるので、酸素や窒素を遮断する大がかりな設備が必要になり、費用も高額に。
そのためこれらの潜水艦は “Golden Fish” と呼ばれた!ということも書いてありました。
やはり船体をチタン製にするというのは、一般的なことではないんですね。
それだけ高価な世界初のチタン合金製潜水艦ということですが、なぜ作られたのでしょう。
高性能である一方で、チタンには吸音性がなく、アルファ級は雑音が大きかったので、
「海洋のどこにいてもその所在がわかってしまった」そうで。
潜水艦のアイデンティティはどこへ?とも思いますが、
どうしても作りたかったその理由を、詳しく見ていきましょう。
チタン合金製潜水艦の誕生
アメリカ対抗策
ソ連がこれらの潜水艦を製造したのは、冷戦の真っ只中。
アメリカを中心とした資本主義国と、
ソ連を中心とした社会主義国の対立が、
直接戦争しないまでも、和解することもないまま、第二次世界大戦後、40年続きました。
アメリカは空母を中心に構成された強力な戦闘部隊、
空母打撃軍(Carrier Strike Group)を持っていて、それは制海と陸上への力の投射をミッションとしていました。←by Wikipedia
ソ連ではこれに対抗するため、
空母打撃軍を見つけたら即座に出撃し迎撃するという
高速潜水艦の開発が急がれたのです。
それにしても。
水中で活動する艦に速さを求めるなんて…
ゼロ戦とかもそうですが、
優れた軍用品はいつだって
ムチャぶり要請から生まれるんですね。
世界最速&世界最深
アルファ級潜水艦を表す言葉で、
「水中のMiG-25戦闘機」というのを見つけました。
MiG-25戦闘機はロシアの戦闘機ですけど、
高速潜水艦のコンセプトを知るにはとてもわかりやすいかと。
また、チタンという物質の特徴についても調べてみました。
チタンの性質:軽い、硬い、強い、サビにくい
使い勝手の良さから近年様々なところに使われるようになってきた。
ジェットエンジン、メガネのフレーム、海岸近くの錆びやすい場所における建造物など。
【参考文献】
「東大生の元素ノート」東京大学サイエンスコミュニケーションサークルCAST/すばる舎
からの、チタン合金採用の理由については以下にまとめます。
①軽いので小型軽量化できる→とにかく速さと機動性向上のため
②頑丈なので、より強度を求められる船殻材にはうってつけ
→水中での速力が増したことから、より深くまで潜航可能にする必要あり。
・・・軽さと強さの両立を実現できるのが、チタンだった。
上記に挙げた本やwebサイトによると、
アルファ級は水深1,000mまで潜航可能、
800mの深さから魚雷の一斉射撃もできたこと、
水中での速度は42ノット(時速77km)←私がざざっと調べた中でもダントツ速かった!
1分足らずで最大速度まで加速、
180度の旋回にかかる時間はわずか42秒、
などなど、いかに速さに命かけてたかを、垣間見ることができます。
ただ「わずか42秒」ってのは、
比較がなくて正直よくわかりませんが、
まあ「わずか」っていうんだから早いんでしょうね…
終わりに
優先順位をどうするか
私が今まで読んできた(チラ見した)潜水艦の本には、
「静粛性」とか「隠密性」という言葉がほんとうによく出てきます。
海に潜って、音も立てずに潜んでいるのが潜水艦だと思っていたら、
騒音はさておき、速さを追求した潜水艦があったなんて。
そこまで速く、深く潜航できる
デスパレートな潜水艦を攻撃できる敵はいないでしょう。←実際いなかった
優先させるべきものを、
きちんと優先するって意外と難しくないですか?
あの有名な壺の話(←ググると出てくる)のように、
実は後回しになっていることがあるように思います。
なんで後回しにしちゃうのかな。
それやるために、
まずは細かいやつらを片づけて…とか思ってしまう。
私は、自分の寿命を設定することで人生における優先順位がはっきりして、
そうすると年単位、月単位から
その日1日をどう過ごせばいいかが自然と決まってくることに、
今さら、、、
気づきました。
まあ苦手なものは、苦手なままでいいし
取りこぼしがあってもいちいち悔やまずに、
自分のやりたいことに誠実に。
時間割作るのが良い。
毎日をデスパレートに
生きていこうと思います。
ではまた!
コメント
遅ればせながら、開設おめでとうございます。
開設を知ったのが先日の魚雷着弾でしたので、
それまで気づきませんでした。
楽しく読ませていただきます。
コメント第1号ありがとうございます。
気付かれなくてよかったです。
ステルス性能異常なしですね。
引き続きファイアーしますので、お気をつけくださいね。