こんにちは。
潜水艦は好きだけど、
乗りたくはないモトコです。
最近もインドネシアの潜水艦が、沈没したというニュースがありました。
たびたびこういう事故ありますね。
映画の中の潜水艦も、
沈んで潜航不能になったら、時間との戦いです。
救難艇の活動が有効なのは、
本当にラッキーな場合なんだと、映画を観ると思います。
で、まあ、映画ですので、
■ジャンル:パニック映画
ヒヤヒヤさせながらも、
艦長は希望の光となって、カッコ良く立ち回ってくれるんでしょう。
型破りでも、頼れるのが艦長。
■例外:タトゥー
リラックスして観てみましょう。
原子力潜水艦浮上せず:あらすじ
今回のレビューは「原子力潜水艦浮上せず」1978年公開です。
おっと!
タイトルがネタバレ上等ですが、
救出劇メインなので問題ありません。
■魚雷、ソナー、お笑いを除く。
原題は「GRAY LADY DOWN」ということで、こちらはネタバレ手前です。
GRAY LADY(灰色の女性)は潜水艦を指していると思うのですが、なんでGRAYなんだろう。
だいたいBLACKじゃん、
と思いましたが、ちょっと昔の潜水艦はGRAYが多く、その名残かなと想像します。
コネチカット州ニューロンドン島の基地へ帰投中の米原潜ネプチューン。
レーダーの故障したノルウェーの貨物船と衝突、艦尾に浸水。
■水の量:映画「タイタニック」くらい
操舵不能のまま1,450フィート(約430m)の深さまで沈みます。
■ネプチューンの安全潜航深度:1,200フィート(約360m)
そこは普通の海底ではなく、
さらに9,000フィート(約2,700m)におよぶ海溝の入り口。
頻繁に地滑りが起き、
ネプチューンもいつ、
奈落の底に落ちるかわからない状況。
水圧に耐えきれず、じわじわとハッチの隙間から漏れる海水。
澱む空気。
力尽きる負傷者。
ベネット大佐(ヒゲの人)率いる救助チームに、
特殊潜航艇スナーク&その生みの親ゲイツ大佐(ヒゲの人)が加わり、
ブランチャード艦長(ヒゲの人)及び、生き残った40人の乗組員救助に挑みます。
■酸素残量:36時間分。
■モトコの希望:ヒゲはないほうが好き。
主要キャラをインパクトで評価
ブランチャード艦長 ★★☆☆☆
チャールトン・ヘストンという俳優さんは大御所だそうですね。
■日本語吹き替え:銭形警部
戦闘モードでキレッキレな艦長を見ることはできませんが、
艦の損傷状況や死傷者の把握、救助チームとのコンタクトに奔走します。
乗組員が発狂しても、副長がふてくされても、艦長のハートは鋼鉄だ!
と、思っていたが…
副長(←ネプチューン次期艦長)に事故の責任(ほぼ恨み節)を問われますが、
その副長の(能動的な)犠牲の上に、さらなる浸水を免れた時、
フラつきながら自室にこもって、膝を抱える艦長。
![艦長](https://motokoblog.com/wp-content/uploads/2021/04/grayladydown_0426-scaled-e1619407417273-150x150.jpg)
………。(呆然)
これは応えますわ…
冷静さと強さを求められる艦長の、
人間としての限界を見た気がします。
例えばですが、
遭難した場合、艦長(船長)が乗員(乗客)を残して先に離艦することは許されません。
↓これは海自のですが、
艦長は、遭難した自艦を救護するための万策が全く尽きた場合は、乗員の生命を救助し、かつ、重要な書類、物品等を保護して最後に退艦するものとする。
自衛艦乗員服務規則 第34条(遭難時の最終処置)
だから、その苦しい心の内は、艦長にしかわからないかも。
サミュエルソン副長 ★★★★☆
艦長からは「デイヴ」と呼ばれています。
■日本語吹き替え:ちびまる子の祖父ともぞう
みんなから次期艦長就任のプレゼントを受け取り、ご機嫌だったのも束の間、事故後は
![副長<br>(写真ナシ)](https://motokoblog.com/wp-content/themes/cocoon-master/images/ojisan.png)
(写真ナシ)
艦長がカッコつけて浮上なんかするから事故ったんだあ!
この艦も乗組員も、艦長に取られちまったあ!
■ともぞうの声がピッタリ。
と不満をぶちまけます。
生還できないと悟っておとなしく読書する部下に、
「なんでそんなに落ち着いていられるんだ?」と聞いちゃう始末。
■副長情報:それでもなぜか次期艦長。ヒゲなし。
そんな、
弱くみっともない、ただの腰抜けにしか見えなかった副長ですが(言い過ぎ)、
自分の命を捨てて、仲間を助けます。
そこにどういう心境の変化があったのかは、観る側が想像するしかないのかもしれません。
副長の名に恥じない、
壮絶な最期ってことで星4つ。
ベネット大佐 ★☆☆☆☆
真面目。
揚陸艦ナッソーにて、ネプチューンの救助を指揮します。
■部下情報:のちのスーパーマン、クリストファー・リーヴ。もちろんヒゲなし。
沈没した潜水艦を救助するといえば、救難艦&DSRV(深海救難艇)ですが、
ネプチューンは地滑りの際、ハッチ(ここにDSRVがくっつく)が土砂に覆われたので、
まずはそれを一掃しなければならず、特殊潜航艇スナーク&ゲイツ大佐を呼び寄せます。
■スナーク情報:しんかい6500みたいなやつ。マジックハンド付き。
我が道をゆくタイプのゲイツ大佐と、ソリが合わない場面もありますが、とにかく
時間がない!!
助けたい!!
土砂は一掃できたものの、今度は地滑りの衝撃で横転したネプチューン。
内部では艦長のひらめきにより、体勢を戻す策を講じるも、岩に引っかかる。
DSRVはハッチが上向いてないとくっつけられない…。
■ハイテク装備:時間ないのにいちいち世話焼ける。
万事休す…
しかしそこは、
![ベネット大佐](https://motokoblog.com/wp-content/uploads/2021/04/grayladydown_0426-1-scaled-e1619407514533-150x150.jpg)
指向性爆弾で岩を吹っ飛ばそう!
ものすっごく危険だけど、もう一回潜ってきてくれ、ゲイツ大佐!
くれぐれもムチャはするなよ。
と、一応頑張ってアイデアを託しています。
ゲイツ大佐 ★★★★★
自由なアウトロー。
■ゲイツ情報:立ち入り禁止の浜辺でジョギング。独特な手の振り。
この映画の本当の主役は、この人ではないかと思っています。
スナークの開発者で、相棒のミッキーと乗り込み操縦します。
■ミッキー情報:ゲイツの部下。太っちょ。ヒゲなし。
■スナークの操縦分担:ゲイツが運転、ミッキーがマジックハンド操作。
![ゲイツ大佐](https://motokoblog.com/wp-content/uploads/2021/04/grayladydown_0426-2-scaled-e1619407613971-150x150.jpg)
ネプチューンを救えるのはスナークしかいないさ!
指揮官ベネットの命令をスルーしたり、軍人らしからぬ一面もありますが、
ネプチューン救助に賭ける気持ちは人一倍。
スナークにできる役割の全てを果たし、ようやくDSRVが発進できた後も、
「最後まで見届ける」と
一人でスナークに乗り込みます。
![ゲイツ大佐](https://motokoblog.com/wp-content/uploads/2021/04/grayladydown_0426-2-scaled-e1619407613971-150x150.jpg)
俺ひとりで十分だ!
その時のミッキーの表情。
やな予感…
DSRVが第二便の救助のさなか、地滑りが勢いを増していきます。
ネプチューンがずるずると、海溝の淵に向けて滑っていく!
![ゲイツ大佐](https://motokoblog.com/wp-content/uploads/2021/04/grayladydown_0426-2-scaled-e1619407613971-150x150.jpg)
頼む!
止まれーっ!!
ゲイツ大佐のスナークがネプチューンに近づく。
艦と岩の間に自分を挟み込むように操縦。
小さなスナークは押しつぶされ、
淵の手前、ストッパーとなったスナークのおかげで、動きを止めるネプチューン。
艦長が最後に乗り込み、DSRVは無事離脱。
浮上する彼らとは対照的に、
ネプチューンとスナークが、深い闇に落ちていきます。
挟み込まれる瞬間まで、淡々と操縦していたように見えたゲイツ大佐。
ただ、覚悟していたことは疑いようがなく。
モトコ、モニターを見つめるミッキーとともに言葉もありません。
潜水艦ネタ:モトコ視点で恐縮です
原子力潜水艦ネプチューン
撮影で使用しているのは、トラウトという潜水艦だそうです。
タング級潜水艦の(たぶん)4番艦と思われます。
実はトラウトは原潜ではなく、本で見ると形も水上艦型なのですが、
映像では冒頭の浮上シーン以外は模型なので、微妙です。
アメリカの潜水艦は魚の名前から付けられることが多く、
トラウトは「マス」ですね。
微妙。
救難艇DSRV、の宣伝
救難に特化した潜水艇です。
日本では救難母艦「ちよだ」と「ちはや」が、それぞれDSRVを搭載しています。
この映画は、DSRVの宣伝も兼ねていたそうで、
誰かが犠牲になったり、スナークが頑張ったり、艦長が苦悩したり、
救出劇のいろーんなことがあった後に、DSRVへの賛辞が取って付けたように添えられていて、
さすがに冷めます。
大人の事情か。
右舷のタンクを排水する
ネプチューンが横転した際、
なんとか体勢を戻せないものかと、艦長が思いついた方法がこれです。
![艦長](https://motokoblog.com/wp-content/uploads/2021/04/grayladydown_0426-scaled-e1619407417273-150x150.jpg)
高校の物理を応用してみよう。
ほとんどギャンブルだけど。
このときバラストタンクは満水状態でしたが、横転した側(右舷側)のタンクを空にすれば、
浮力を得て左回転するんじゃないかと、艦長は考えました。
そのためには、貴重な予備空気を大量に使うことになるのですが、
結果、岩がじゃまして正位置には戻らず…。
タイムリミットを早めることになりました。
でもその前に、あまり深いところでは、そもそもタンクの排水はできないと聞いたことがあります。
水圧が高く、空気が萎縮してしまって、十分ブローできないそうです。
まあ艦長もね、
必死だったわけですよね。
終わりに:最後のシーンをどう解釈する?
部下を思う艦長か、ただののんきか
生還した艦長と乗組員。
艦長は最後にDSRVを降りて、やや憔悴した様子で歩いてくるのですが、
カメラ手前、渋い顔で遠くを見つめ、おもむろにコーヒーをひと口。
THE END。
こ、コーヒー飲むか!?
屍をいくつ越えてきたと思ってんだよ!
のんき過ぎないか?
だけど見方を変えると、
艦長が再び陸の空気を吸って、
まずやるべきことは、コーヒーを飲むことだったと思えなくもないのです。
あとは帰るだけ、すべてが順調だった事故の前。
艦長と副長の会話。
![艦長](https://motokoblog.com/wp-content/uploads/2021/04/grayladydown_0426-scaled-e1619407417273-150x150.jpg)
コーヒーくれないか。
![副長](https://motokoblog.com/wp-content/themes/cocoon-master/images/ojisan.png)
いいですとも。
このさりげないやり取りの続き?と思ったりして。
この場面、
日本語の吹き替えでは、
艦長「陸に上がったら一杯おごれよ」
副長「お安い御用で」
という日本のサラリーマン風(古い)の会話になっているのですが、
実際のモチーフはコーヒーなのです。
■なぜかこの映画の吹き替えでは、モチーフを言い換えてるところが他にもある。
で、生還後のコーヒーは、
副長への哀悼の意だったのかと、
考えても見ました。
ちょっと悔しい洋画の見方
だから洋画を見るときは、
①日本語吹き替え(②の準備として)
②英語音声+英語字幕(ニュアンス重視)
の最低2回観ることをオススメします。
■モトコはヒゲづらのおっさん見分けつかなくて、もう少し見ました。
■日本語字幕は情報量が少ないのでイマイチです。
というか、リスニングできるなら
まるッと解決な話。
ではまた!
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