こんにちは。
人類史上初、オウムガイにインタビューを試みるモトコです。
我ながらクレイジーだとは思いますが、
広い心で読んでいただけたら幸いです。
潜水艦の名前といえばノーチラス、ノーチラスは和名「オウムガイ」。
この謎めいた生き物と、潜水艦の共通点を見つけたいと思います。
念のためお伝えしておきますが、
これからご紹介するオウムガイのキャラ(性別不明)についてはモトコの創作ですが、オウムガイ情報はまじめに文献から持ってきたものです。
まあ、たまにはこんなもんでも読んで、
おうち時間をゆるほがらかに過ごしてみてください。
では「モトコの部屋」始まります。
オウムガイ|名前の由来・生息地

のっちぃさん、今日はお忙しいところモトコの部屋へようこそ。
潜水艦つながりでお話が聞けるなんて運命を感じます!

どうも。

ステキな触手ですね。

ありがと。

まずはのっちぃさんの正式名称「オウムガイ」の由来から伺いたいのですが。

オウムのくちばしに似てるわけ。

…ですよね。
できたらそこもう少し詳しくお願いします。

だから貝殻がさ、こう内側に巻き込んでるところがね、途中から色素沈着でさ、黒くなってるんだけど。正位置っていうかさ、殻を立ててね、殻の入口側から見ると、ここがさ、オウムのくちばしに見えるわけ。
今はね、ちょうど頭巾みたいなの被ってるせいでさ、見えないけども。

あ!貝殻の巻き込み部分なんですか?
私、その頭巾がくちばしに見えるのかと思ってました。
っていうか、某ネット情報にも頭巾がくちばしに見えるって書いてありましたよ。

そう思ってる人、多いよね。
でもね、これじゃさ、オウムのくちばしじゃないでしょ。
ググってみなさいよ、あるから。

ほんとだー。くるっとなってるところが、まさにオウムのくちばしですね。
これ、死んで貝殻だけになったやつじゃないと見えないんですね。
のっちぃさん、お住まいはどのあたりで?

まあ南太平洋、西寄り…かな。
フィリピンとかさ、オーストラリアのね、あったかいとこ。

深海なんですよね?

ううん、そうでもない。
水深100〜600mくらい。
さすがにさ、800オーバーはね、無理ね。

水圧ですか?

そ。殻こわれちゃう。

でも潜水艦と同じくらい潜れるんですね。
もしかしてその殻、高張力鋼でできてるんですか?
なんちゃって(笑)

……炭酸カルシウム。
オウムガイ|生き物としてのルーツ

のっちぃさんの祖先が地球上にあらわれたのは、いつ頃なんでしょう?

カンブリア紀後期。

か、寒鰤…

5億年前ね。

ああ、その頃ですか。へえー。どおりで、古生物の風格ありますよ。
で、分類としては、軟体動物の中の…頭足類、というやつでいいんですか?

そ。厳密には「動物界軟体動物門頭足網オウムガイ亜網、または四鰓亜網、オウムガイ目オウムガイ科」

ずいぶん長いんですね。

ウィキペディアによる。

……えっと、頭足類っていうのは、タコやイカの仲間ってことですよね。
でもあんまり似てないですね。

そ。頭からいきなり足生えてるのがね、頭足類なんだけど、私らはさ、もともと軟体動物って貝の仲間でね。タコやイカは進化の過程でさ、殻を捨てたんだよね。
あの人たちはさぁ、進化の頂点?ていうかね、泳ぐのも早いしさ。
生きてる魚もね、捕食できるよね。

のっちぃさんの触手には吸盤ないですもんね。
スミも吐かないし、視力も良くないんですよね?

視力はね、タコ・イカみたいにレンズ構造じゃないからさ、たいして見えてないけど、触手90本あるからね、いいの。
吸盤なんかなくたってね、粘液質だからさ、不自由ないな、うん。
頑丈な殻のおかげでさ、天敵とか関係ないからね、スミ吐く必要もないし。
この殻がね、ゆっくり成長するせいでさ、20年近く生きられるの。

それ関係あるんですか?

あるみたいよ。タコやイカは1年くらいでしょ、寿命。

殻がない分、成長が早いんですね。

ランチ行こうかなーって時はさ、自由に移動だってでき

移動っ!?
それどうやって?

ちょっとさぁ、あんた食い気味にやめてよ、なんなの。
移動はね、触手の下に「漏斗」ってのがあってね、ここから吸い込んだ水をね、吹き出してさ、進むの。だから後ろ向きにね、進む感じ。

漏斗の推進力で泳ぐというのは、タコ・イカと同じですね?

そ。そこは同じ。スピード負けちゃうけどね。
オウムガイ|潜水艦との共通点

ごはんの時とかね、わっさーって出てくるんだから。byのっちぃ

体の構造について詳しく教えてください。

めんどくさいよね、それね。

え!でもこの記事の本丸なんですよ。
のっちぃさんの英語名が、潜水艦の名前に使われてるのご存知でした?

ノーチラスでしょ。
「海底二万マイル」に出てくるやつとかね、あとアメリカの原潜ね。
ノーチラスってさ、ギリシア語で水夫とか船って意味なの。

のっちぃさんには、やっぱり船を感じさせるものがあるんですね。

それにね、私らは深度をさ、調整できるから。

深度?

殻の中はね、自分の体が入ってる部分を「住房」って言ってね、その奥は「気房」って言って、規則正しい間隔でさ、30以上の部屋に仕切られてるの。その一つ一つをね「気室」って言うんだけど。

ちなみにね、オウムガイの正式な英語名はね、chambered nautilus って言ってさ、部屋のあるノーチラスってわけ。byのっちぃ

お!詳細な図説を、恐れ入ります。

この気室にはね、ガスと少しの液体が入っててさ、あ、ガスっていうのはほぼ窒素だけどね。それが浮力になってる。

そのガスの量を自分で調節できたりす

できちゃうの!
気室を仕切る壁はね、「連室細管」ていう管で貫かれててね、で、この中には血管とか上皮組織でできた器官なんかがさ、入ってる。
わかる?

あー、え?…ええ、…はい。

そんで酵素の働きでね、上皮組織の中にさ、塩分濃度の高いポイントをね、作ることができるの。そ、局所的にね。

濃度勾配ができるってことですかね???

そ。それによってさ、あれが働くわけよ。
あれ、えっとー、なんて言ったっけね…

浸透圧???

そそ、浸透圧。それが働いてね、上皮組織を経由してさ、液体を、この液体は「カメラル液」っていうんだけどね、気室と血管の間で移動させるの。
そうするとさ、ほら、結果どうなる?

液体が気室を出入りすると、窒素を含むガスの容積が変化する!それが浮力の調節になるから、深度を変えることができる!

そ。よくできました。

すごい!
予想だにしない仕組みです!

そ?

潜水艦との共通点は、ガスの増減による深度調整にありましたか!
この原理をジュール・ヴェルヌも知っていたのかな。
オウムガイ|絶滅危惧種?

最後にのっちぃさん、趣味を教えてください。

ない。

……(汗)
ここは海中散歩とかでもいいですよ。流れ的に。

だってそれ、趣味じゃないもん。

そうだ、のっちぃさん達って、絶滅危惧種じゃないんですよね?
図書館でレッドリストを調べたんですが、載ってませんでした。

絶滅危惧種じゃないよ。
よく言われるけどね。
フィリピンではね、よく捕獲されてる。

食べられちゃうんですか?

そ。イカのような貝のような味、だって(笑)つまんないよね。
もっとさぁ、官能的な表現、できないのかしらねぇ。
あとね装飾品とか、民芸品にね、加工されちゃう。
貝殻の内側がね、真珠の光沢で綺麗だから。

そうなんですか…。
のっちぃさん、気をつけてくださいね。
ここまで話をしてきて、私はもう完全に親友のような気持ちなんです。

ありがと。
でもね、トラップにね、鶏肉仕掛けてあったりしてさぁ。
あれにはねえ、つい触手が動いちゃうよねえ。
終わりに:のっちぃ、会えてよかった


のっちぃさん、今日はありがとうございました。
今までで一番いい記事にしようと思います。

ま、せいぜい頑張りなよ。
需要なんかね、ないと思うけどさ。

。。。。。。。

明らかにね、路線がさぁ、ありえないよね、あんたって。

。。。。。。。

ま、でもね、嫌いじゃないかな。

いいんですよ。誰にも読まれなかったとしても。

……そね。
ではまた!
オウムガイ|参考文献
■古生物学辞典 第二版/日本古生物学会編集/朝倉書店
■図説 魚と貝の辞典/望月 賢ニ監修 魚類文化研究会編/柏書房
■海の百科事典/永田 豊/丸善株式会社
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