ホランド型潜水艦登場までの道。発明と失敗の果てに【はじまりの話後編】

歴史
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こんにちは。
家のとなりにでかい図書館が欲しいモトコです。

本は書き込むので買うことが多く、順調に増えています。
調べ物をするなら図書館を有効活用するべきですね。

自分のなけなしの語彙、乏しい思考を助けるように、
思いがけないヒントを与えてくれそうです。

さて、前回の続きとなります。
潜水艦の芽がどんな成長を遂げるのか、追ってみましょう。

前回の記事はこちら↓

タートル以降〜価値を認められるまで

ロバート・フルトンのノーチラス:1800年

潜水艦はなぜ「ノーチラス」?

ノーチラス(Nautilus/オウム貝)というのは、
「潜水艦のもっとも一般的な名前」と下の図鑑には書いてあります。

フルトンのノーチラスの他には、ジュール・ヴェルヌの小説「海底二万マイル」に出てくる潜水艦ノーチラス号、アメリカの世界最初の原子力潜水艦ノーチラス、またフランスの深海探査艇ノーティルも「オウム貝」が語源となっています。

図鑑_ノーティル
モトコ
モトコ

上の図鑑の表紙に、黄色い探査艇「ノーティル」が写っています。

「NAUTILE」って書いてありますね。それです!

オウム貝ってそんなに潜水艦ぽいのでしょうか。

nautilus
オウムガイ。鸚鵡貝と書く。目があるの? 神秘的で個性的。

なんつって、このブログのヘッダーにもオウム貝(貝殻の断面)使ってますけど。
潜水艦つながりですよ!もちろん。

象徴的な感じはしますが、よく知りません。
またの機会に調べてみます。
なんか宿題がたまってくなあ…

ってわけで、調べました!
ぜひお立ち寄りくださいませ↓

フランスが感銘を受けたけれど

オウム貝はいいとして、
フルトンはアメリカ人の元画家なのだそうです。

※トム・クランシーは著書で「より大きな一歩を記したのは、やはりアメリカ人ロバート・フルトンが設計した<ノーチラス>である」と推し気味に書いています。

画家だった人が、こういう方面(その後蒸気船の開発もする)に「舵をきる」とはいったいどういう風の吹き回しか。
それはいいとして、

フルトンのノーチラスはオール鉄製で、
水上での推進力はcollapsible sail(折りたたみ式の帆)によって得ていたといいます。

タートルではかなり特攻に近かった攻撃方法ですが、ノーチラスでは曳航した爆弾を、敵の艦に触れさせて爆発させるという方法だったそうです。

それでも、自分が「爆発させに行く」というのは同じです…。

当時はこの爆弾を
トーピード(魚雷)と呼んでいました。

モトコ
モトコ

トーピードは「トーピードフィッシュ(シビレエイ)」からきている名前だそうです。このエイは餌となる魚を電撃で動けなくし、捕食します。

一撃で相手を航行不能にする、まさに魚雷の由来ですね。(by wikipedia)

1800年、フルトンはノーチラスを
ナポレオンにデモンストレーションし、これにいたく感銘を受けたナポレオンは、ノーチラス建造のため大金を支払います。

にもかかわらず、
ナポレオンは結局フルトンの提案そっちのけで、イギリスの侵略、ロシアの攻撃をおこない、実戦でノーチラスが用いられることはありませんでした。

潜水艦は速度が遅い、
魚雷の精度が不十分、
など武器としてはイマイチ感が否めなかったのでしょうか。

労力のわりに、ちょっと命懸けすぎる気がします…。

また、潜水艦は姿を隠して相手を襲うため、
特に英国から「卑怯な兵器」と言われたそうです。

紳士的ではないと?騎士道に反すると?
「卑怯な兵器」と「卑怯じゃない兵器」があるということですか。

ホレース・ハンレーのH・Lハンレー:1863年

敵艦を沈めた最初の潜水艦

※もちろんトムは推し気味に書いています。
「戦時に敵の艦艇を実際に沈めた最初の潜水艦も、やはりアメリカ人の手になるものだ」と。

南北戦争中のアメリカにて。

南軍により設計されたのは、
8人の乗組員が手回し式のスクリューで推力を得る潜水艇「H・Lハンレー」(「ハンリー」との表記もあり)です。

全長12mの船体の先に、
長い棒(スパー)が突き出ていて、その先端に「スパートーピード」と呼ばれる魚雷(41kgの爆薬を入れた樽)が付けられていました。

この棒の長さですが、本には書いてなく、イラストから推測するに7mくらいでしょうか。

Wikipediaなら載ってそう…
こういうマニアな領域は…

あ、そうですね、
6.7mとあります。

潜航して敵の艦に近づき、舷側に魚雷を引っ掛けて逃げる。
150フィート(46m)離れたところで、電気的な仕掛けで爆発させる計画だったそうです。

ところが1864年、
北軍の蒸気帆船「フーサトニック」を攻撃、沈没させたハンレーは、
爆発の瞬間、艦から十分離れることができず、自らも沈没。

乗組員全員が死亡しました。

ハンレーは試験的なものも含め、
計3回航行していますが、全部で21人の乗組員が命を落としたそうです。

潜水艦史上、初の戦果をあげると共に、海に潜って活動することの優位性と、そこには大きな危険が伴うことを示しました。

フランス海軍のプロンジュール:1863年

人力に頼らない最初の潜水艦

1863年(ハンレーができたのと同じ頃…)、フランスにて人間の力以外で動く最初の潜水艦が造られました。

圧縮空気(圧搾空気)がプロペラを回すことで推進力を得られる方法で、圧縮された空気のタンクを積むため、船の全長は43mと大きく設計されました。
安全性が高く、航続距離は9kmだったそうです。

圧縮空気って、膨らませた風船の中身とか自転車のタイヤとか、私たちの身近にあります。

私は理系の人間ではないので(文系ってわけでもない)、難しいことは分かりませんが、空気を詰めこんだときのエネルギーと、それが放出されるときのエネルギーは等しいのだそうです。

いっぱいに膨らませた風船は、そのまま手を離すと、より勢いよく飛んでくってことでしょうか。

モトコ
モトコ

ちなみにYoutubeで「圧縮空気」と検索すると、圧縮空気のエンジンで走るクルマの実験とか出てきておもしろいですよ。予想以上にパワーあり。

攻撃はハンレーに似ていて、
艦の先端にスパートーピードがついているのですが、電気で着火させるものでした。

動力には大きな違いが見られますが、
武装はほぼ同じでありますっ!

ただここで、ワタクシ的に大きく変化したと思えるのは、甲板に(一応)救命艇が積まれる作りになったことです。
乗員12名が緊急時に脱出できるよう、全長8mほどの救命艇でした。

果たしてどのくらい実用的だったのかな。
浸水してきたとき?
これ使って助かるにも、少しの時間的猶予は必要な気がします。
ハンレーみたいに一瞬の事故というときは…。

攻撃する人だって死にたくはない。
そんな、
艦を沈めに行く艦の、救命艇。

出た!スウェーデンのノルデンフェルト艇:1885年

自走する魚雷を搭載した最初の潜水艦

最初に「出た!」って書いてるのは、
前回の記事で紹介しましたが、
トム・クランシーが「潜水艦を作る国としてのスウェーデン」を高評価していたからです。

私にとっては意外な感じがしたので、今回潜水艦のはじまりを調べていく中で、再びスウェーデンの記事を見つけ、やや興奮状態となりました。

で、このノルデンフェルト艇ですが、蒸気エンジンで動力を得て、航続距離は240kmだったそうですが(by wikipedia)、燃料は石炭ってことで、煙(蒸気?)の排出はどうしてたのか。

当時は潜水艦といっても、
いざというときに潜ることもできる船」という感じで、ほとんどは水上航行でした。

なので、潜航時にはボイラーを止め、煙突を引き込み、貯蔵していた蒸気を使うことで水中を航行できたということです。

蒸気を貯蔵です。へえ…。

そしてノルデンフェルト艇は、初めて
自走する魚雷を搭載した潜水艦です。

この魚雷は1866年、
イギリス人ロバート・ホワイトヘッドが完成させ、各国の海軍が次々に採用していきました。
イギリスの方がお作りに。

ちなみにニックネームは ”Devil’s Device”だったそうで。
リズムカルに韻を踏んでます。
頭韻。

このホワイトヘッド魚雷の登場が、潜水艦に軍艦としての有効性をもたらし、その後の潜水艦の機動性や、遠く離れた場所から敵を探知する能力を向上させることになります。
↑テスト出ますよ!

まるで猿からヒトに進化するような、と思うのは私だけでしょうか。
これは大変革新的な出来事だと思います。
「特攻する船」からの脱却です。

同時に、本物の「卑怯な兵器」に昇格でしょうか。

ジョン・ホランドのホランド型潜水艦:1880年代

近代的潜水艦の出発点

アイルランド出身のホランドはアメリカに渡り、イギリスの艦隊に対抗する兵器として潜水艦の設計を始めます。
この頃アメリカ海軍の主催で、潜水艦の設計のコンペが行われ、ホランドが優勝!

ついに潜水艦にモテ期到来です。
もうネクラなんて言わせない!

私の図鑑には「The true submarine is born」という見出しとともに、ホランドを「近代潜水艦の父」として紹介しています。

彼の作った潜水艦は、
現代の潜水艦のルーツと言われるのですが、その特徴をサクッとまとめてみました。

①水上ではガソリンエンジン、水中では蓄電池によるモーターでスクリューを回して航行。
→現代の通常動力型潜水艦と同じ方法。今はディーゼルだけど。

②水上ではダイナマイト砲、水中では再装填できるホワイトヘッド魚雷装備。
→両方、圧縮空気で発射します。

③水平舵(横舵)と垂直舵(縦舵)を備え、水中でも安定した航行。

④先進的な船体形状:「Whale -Shaped」クジラ型
→全長19m。なめらかにずんぐりしています。水中での抵抗が少ない。

ホランド型以前は、
その潜在能力をチラつかせながらも、まだまだ完成度が十分ではなかった潜水艦ですが、
だいぶ信頼度が上がった感あります。

1900年、アメリカでの就役を機に、ロシア、スウェーデン、カナダ、日本など、各国がホランド型潜水艦を採用していきました。

あのイギリスでさえ購入したというのですから、驚きです。
そもそもの建造の目的を考えたら、売るのも驚きです。

そして世界は第1次世界大戦へ…。

終わりに

アップデートは続く

今回後編では、
1800年から約100年にわたる、潜水艦の発明と建造の歴史をみてきました。

潜水艦誕生に関わった人たちの、
情熱と失敗の歴史(の一部)を、
よけいな寄り道をまじえつつ
(ここは外せない!)
偏りつつ、
終わらせることができてめでたしです。

もちろんこれが全部ではありませんが、好きなようにやれてよかったです。
私が。

このあと1914年の第1次世界大戦に至るまでに、
ディーゼルエンジンが開発され、
魚雷の精度が上がり、潜望鏡が登場し、無線技術などが発展していきます。

良くも悪くも、こういうことには、ある種の「果てしない感じ」が付き纏いませんか?
果てしない感じ。

途中まではいいんですけど、
行き過ぎると不毛な感じ。

私、なんで潜水艦が好きなんだっけ???
こういう堂々巡りはよくあります。

次はぜんぜん違うところにスポットを当ててみようかなと思います。
オウムガイの目が、夢に出てきそうです。

ではまた!

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