こんにちは。
「就航」と「就役」の違いがあやふやなモトコです。
現在、海上自衛隊が有する潜水艦は21隻。
おやしお型とそうりゅう型。
ここに新たに投入予定の潜水艦の艦名を「たいげい」と言います。
漢字だと「大鯨」
潮からの龍からの鯨。
新型1番艦です。
2020年10月に命名・進水式を終え、
2022年3月に防衛省に引き渡し予定だそうです。
ん?進水式したのに、まだ防衛省のものでもないの?
そもそも進水ってなに?
進水から引渡しまでに、
1年半近い空白の時間があるのですが、
おそらく何か秘密のことをやってるんでしょうから、
今回は、潜水艦の建造からデビューにまつわるいろいろを調べてみました。
子どもの成長を見守る気持ちで、お付き合いください!
潜水艦オーダー入ります
誰が注文し、誰が作る?
防衛省が注文し、
川崎重工業と三菱重工業の2つの会社が、毎年1隻ずつ交互に作ってきました。
これは2013年の防衛大綱
【2023年までに潜水艦22隻体制にする】に基づき、計画されてきたものです。
中国の海洋進出はほっとけないですからね。
そして、新型潜水艦たいげいの就役をもって、22隻体制が完成します。
海自の潜水艦を作っているのは、上記の2社だけです。
潜水艦を持つ国はたくさんありますが、
自国で設計・建造までできる国はそれほど多くはありません。
日本が最初に潜水艦を作ったのは1906年。
現在の川崎重工による。
長い間蓄積された技術や技能に、最新のハイテクを組み合わせる能力が必要になります。
自国で建造していない場合は、同盟国から購入します。
買った方が早い。
起工
「着工」は聞いたことあるのですが
「起工」はないんですよね。
調べてみると、大きな建造物や船には
「起工」を使うものだそうです。
ま、工事をね、始めることですわ。
それで、そのー…
この項目でそんなに書くことはありません。
命名・進水式
最も華やかなセレモニー
進水式の潜水艦はちょっとかわいいと思うのは私だけでしょうか。
艦首を旭日旗で覆うって、このご時世にはしっくりきます。
進水式の時に、命名式を同時に行うのが通例で、
艦名は海自から公募され、防衛大臣が決定します。
進水式は船を初めて水に「触れさせる」儀式のことです。
海面に浮かべるだけで、航行はしません。
この時点では、まるで完成したように見えますが、
組み立てられているのは船の外側(箱)だけで、
機器類、機関などは
ついていません。
部分によってはやってるのかも。
全部取り付けちゃうと、進水させるのに重くて大変だからですね。
残りの工事は「艤装」と言って、進水後におこないます。
進水式の模様はYouTubeの海自チャンネルで見ることができます。ぜひ!
○海自音楽隊の国歌吹奏(海自歌姫の独唱バージョンもある)
↓
○国旗掲揚
↓
○命名(防衛大臣による)
↓
○支綱切断(クライマックス)
↓
○進水(造船会社による)
と、こんな感じに進んでいきます。
支綱切断
本来、支綱切断というのは
進水させるため、船を繋いでいるロープ(支綱)を断ち切ることなのですが、
実際の儀式(動画)では、この支綱を切断をすると、
ロープの先につないであったシャンパン(日本酒?)が船体に叩きつけられ、
くす玉が割れて、
船体に仕掛けてあったきらきらテープがパンッ!
風船が飛ぶ、という
ピタゴラ装置的演出とともに、
軍艦マーチ♪が演奏されます。
ちなみに、
シャンパンを割るのは、船の安全を願う意味がありますが、
ゴンッていうだけで割れなかったのが、映画「K-19」ですね。
その後の不運を暗示するように…
支綱は銀の斧で切断します。
斧を使うというのは日本独特で、新しい船ができるたびに新調するそうです。
斧っていうから、金太郎がかついでるやつ想像しちゃうけど、
わりとエレガントです。
あ、金太郎はマサカリですか。
え?マサカリってどんなの?
一般に西洋では槌とのみだそうです。
ハサミは…テープカット、ですか。
ドック進水と船台進水
支綱切断のあと、艦は海に向けて、
後ろ向きに船台を滑っていくのですが、
これは船台進水といいます。
進水のスタイルにはもう1つあって、
ドックで建造された場合、そこに注水するドック進水というのがあります。
私は今のところ、ドック進水というのは動画でも見たことがありません。
ドック進水と書いてあっても、見ると船台進水っぽい。
後ろ向きに入水するのは、転覆、破損することなく安全に進水させるためです。
艦首から行くと勢いが出てしまい、一度浮き上がった時に、
船台に艦尾をぶつけてしまう恐れがあるそうです。
小さい子どもが階段降りるとき、後ろ向きに降りますよね?
そんなのをイメージして見てみると、温かい気持ちで応援したくなります。
ならない人がいるんですかあ?
艤装
「偽装」じゃなく「艤装」します
艦内に諸々の設備、レーダー、機器類、機関などを取り付け、
内装工事をおこなうことを艤装と言います。
この「艤」という字を艤装以外で見たことがないので、調べてみました。
出典を控えるの忘れましたが、オンライン辞書もだいたいこんな内容ですね。
ふなよそおい、ふなじたく
出航の準備をするなどの意味を持つ
船をつなぐ、岸につけるの意味もある
漢字検定1級レベル
自動車の場合も艤装だが、舟へんだと違和感があるので「ぎ装」や「義装」を使うことが多い…など
すると字の通りですね。
岸につないで、「ふなじたく」するわけなので。
進水した後こそ、まだまだ工事はこれからだったのですね。
艤装員長、仕切る
艤装中の潜水艦(まだ軍艦になる前の潜水艦)に配属される隊員を艤装員・艤装員長と言います。
この方たちは、潜水艦が軍艦になったら、
艤装員→乗組員、
艤装員長→艦長になることが多いそうです。
自分たちの使いやすさを反映させられる部分もあるそうで。
いいですねぇ。って知らんけど。
竣工
これは、ほら、工事が全部終わることですわ。
おつかれさまでした。
で、あのー、この項目でそんなに書くことはありません。
公試運転
シートライアルともいうそうです。
これは船の検査、性能テストですね。
ふつうの船(一般の商船など)の場合は、数日程度で終わるそうですが、
艦艇は数ヶ月かかるものだそうで。
それは引渡しまでに時間かかりますね。
全速、からのいきなり後進して急停止←エンジンが壊れかねないそう。
最大深度での潜航、いい感じに旋回(回頭)できるか、
また各種計器、燃費、兵器などについてテストするそうです。まあそうですよね。
引渡式・自衛艦旗授与式
軍艦になるのはこの瞬間
引渡式で潜水艦が防衛省の所有するものとなり、艦尾に自衛艦旗を掲揚します。
掲揚した時点で自衛艦となり、国際法的にも軍艦となります。
ところで、すごく簡単な軍艦の定義です。
1、国家の軍に属していること
2、軍艦旗を揚げていること
3、艦が艦長の指揮下にあること
4、艦の乗組員が艦長の指揮下にあること
大きく4つなんですけど、
意外なことに武装については触れてないんですね。
確かに補給艦や救難艦も、武装してなくも軍艦の種類だろうって思いますね。
式典の模様は海自チャンネルでぜひ!たいげいより前のが見れます。
三角形にたたまれた自衛艦旗を、頭より高く掲げて歩く姿が印象的です。
就役
就役は「新造の艦船が任務に就くこと」、
就航は「船や飛行機が初めて航路につくこと」だそうです。
字のとおりでした。
海自の基地は5ヶ所あるのですが、潜水艦が配備されているのは横須賀と呉ですね。
引渡式を終えて、自衛艦旗を揚げた潜水艦はそのまま配備先へ向けて出港します。
だいたい3月は護衛艦や潜水艦の就役が多いと思いますが、
今年3月も、そうりゅう型最終艦とうりゅうが就役します。
終わりに:新時代の幕開け
秘密の1年半かと思いきや、
新しい潜水艦は、工事とテストでスケジュールがいっぱいだったのですね。
Youtubeにも出てるし、まるで現代っ子。
たいげいは、日本の潜水艦で初めて、
女性自衛官の勤務が可能になった艦です。
軍艦はクルマとは違うので、快適さは必要最低限、カッコ良さを追求する余地はありません。
特に潜水艦ともなると、、、
モトコは遠慮しときますっ!
好きなのとコレは別でありますっ!
たいげいには、女性専用の区画が整備され、居住性の向上に配慮がなされました。
女性用にモノを作るというのは、ちょっと手間がかかる。
なるべく、コンパクトでありたい潜水艦にとっては逆行ですわ。
男女混在の潜水艦は実現性が低い、と書いてある本もありました。
そのときは、そういうものだったのでしょう。
その本の出版から、4年後のたいげい進水。
なんだ、実現するんじゃないか。
機能的合理性を取るか、女性の働きを取り入れるか。
未来があるのは、後者だと思います。
人からしか未来は生まれません。
残念ながら、私が任務に就くことはありませんが、
女性の活躍を祈りつつ。敬礼!
ではまた!
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